○島尻消防組合火災調査規程

平成28年9月1日

訓令第1号

第1章 総則

第1節 通則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災原因及び損害の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、火災の原因及び損害を明らかにして将来の火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(調査の種別)

第3条 調査の種別は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 原因調査 火災が発生した原因及び火災が拡大して損害を大きくした原因を究明すること。

(2) 損害調査 火災及び消火のために受けた損害について調査すること。

第2節 火災の基準

(火災の定義)

第4条 この規程において「火災」とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするものをいう。

(火災の種別)

第5条 火災は、り災物件の種類により次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災

(3) 車両火災 原動機によって運行することができる車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災

(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災

2 前各号の火災が複合するときは、焼き損害額の最も大きい火災種別に区分するものとする。ただし、焼き損害額の同一のときは、火元となったり災物件の種類により区分する。

第3節 調査の体制

(調査の責任者)

第6条 調査の実施責任者は、消防長とする。

(調査本部の設置)

第7条 消防長が必要と認める火災については、調査本部を設置して調査するものとする。

2 前項の規定による調査本部を設置した場合は、予防課長が、調査の指揮統制に当たるものとする。

(調査本部の解散)

第8条 消防長は、調査が完了したときは、調査本部を解散する。ただし、調査の状況により調査完了前であっても調査本部を解散することができる。

2 前項ただし書の規定により調査本部が解散したときは、予防課長が、継続して調査を行わなければならない。

(調査員の専任)

第9条 調査に従事する職員(以下「調査員」という。)は、次の各号に掲げるいずれかに該当する者とする。

(1) 予防課調査係員である者

(2) 前号に掲げる者のほか、消防長が認める者

(調査員の心得)

第10条 調査員は、常に火災の現状、関係法令、その他調査に必要な知識を修得するとともに、調査の適正を期せるよう調査技術を研究し、調査能力の向上に努めなければならない。

2 調査員は、調査にあたり次の事項を遵守しなければならない。

(1) 調査員は、法その他関係法令を遵守し、調査上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

(2) 調査員は、調査にあたり個人の民事的紛争に関与してはならない。

(3) 調査員は、警察機関、海上保安本部その他関係機関(以下「警察等」という。)と緊密な連絡を保ち、相互に協力して調査にあたらなければならない。

(4) 調査員は、関係のある場所に立ち入るときは、原則として関係者の立ち会いを得ること。

(調査の実施)

第11条 調査は、予防課長が行い、焼損の程度は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号。以下「取扱要領」という。)によるものとする。

第2章 原因調査

第1節 通則

(調査の原則)

第12条 調査は、常に事実の確認を主眼とし、先入観又は個人的感情に走ることなく、科学的な方法と合理的な判断により事実の究明に努めなければならない。

(調査の着手)

第13条 調査は、火災覚知と同時に着手し、火災時及び鎮火後にわたって行うものとする。

第2節 調査の実行

(火災出動時の見分)

第14条 先着消防隊の長は、現場に到着したときは、直ちに原因究明に必要と認められる事項を観察見分しなければならない。

2 前項の見分を行ったときは、必要に応じ火災出動時における見分調書(様式第1号)を作成するものとする。

第3節 現場保存

(消防活動中の現場保存)

第15条 現場指揮者は、出火場所及びその付近の消防活動にあたっては細心の注意を払うよう消防隊員に指示を行い、調査に支障のないよう原形の保存に努めなければならない。

2 現場指揮者は、残火整理のため、出火場所付近の物件を移動又は破壊しようとするときは、消防隊員に必要な指示を行い、調査に支障のないように努めなればならない。

(消防活動後の現場保存)

第16条 署長又は現場指揮者は、次の各号に定めるところにより火災鎮火後の現場を保存しなければならない。ただし、警察等によって現場保存がなされているときは、この限りでない。

(1) 現場保存区域は、警察等と協議して決定する。

(2) 現場保存区域は、必要最小限度の範囲にとどめる。

(3) 現場保存区域は、縄張りその他の方法で表示する。

(4) 現場保存区域は、必要と認める者のほか、みだりに出入りさせてはならない。

(5) 現場保存区域は、調査の進行に伴い順次縮小解除するものとする。

(焼死者の取扱い)

第17条 調査員又は消防隊員は、現場において焼死者又はその他の死者を発見したときは、直ちに署長又は現場指揮者に報告しなければならない。

2 前項の報告を受けた署長又は現場指揮者は、直ちに消防長に報告するとともに、所轄警察署に通報し、その現場保存に努めなければならない。

第4節 鎮火後の調査

(実況見分)

第18条 調査員は、火災現場の燃焼度合、建築物各部分及び機器等の焼き状況を綿密詳細に見分しなければならない。

2 調査員は、前項の実況見分を行ったときは、実況見分調書(様式第2号)を作成するものとする。ただし、火災の状況により消防長がその必要がないと認めたときは、この限りでない。

(図面及び写真)

第19条 調査員は、調査書類の作成にあたり火災原因の究明に必要と認めるときは、図面作成及び写真撮影により記録することができる。

第5節 質問

(質問)

第20条 調査員は、関係のある者に対し質問をするときは、時機を失することなく、正確な供述を得るとともに迷惑をかけないように留意しなければならない。

2 警察官が放火又は失火の犯罪容疑で逮捕した被疑者に対して質問するときは、警察署長の承認を得て行い、捜査に支障がないように留意しなければならない。

3 調査員は、前2項に定める質問を行ったときは、原因判定に必要と認められるものについては、質問調書(様式第3号)を作成するものとする。

第6節 少年に対する取扱い

(少年に対する心得)

第21条 調査員は、少年(少年法(昭和23年法律第168号)第2条第1項に規定する少年をいう。以下同じ。)に関する調査にあたっては、それらの者の将来又は現況を考慮して温情と理解をもってこれを行わなければならない。

(保護者の立会い)

第22条 調査員は、少年に質問し、又は実況見分の立会人とする場合は、保護者を立ち会わせなければならない。

(特例)

第23条 調査のため必要があると認める場合又は当該少年の年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと認めるときは、他の法令に抵触しない限りにおいて前条によらないことができる。

(氏名の公表禁止)

第24条 少年の放火又は失火による火災については、市民、報道機関に発表するときは、氏名、年齢、住所その他本人を推知できるような情報を漏らしてはならない。

(心神喪失者等の準用)

第25条 心神喪失者、心神耗弱者、聴覚障害者又は言語機能障害者の関係する調査は、前3条の規定を準用する。

第7節 原因の判定

(火災原因の判定)

第26条 火災原因は、火災出動時における見分調書、実況見分調書、質問調書及びその他関係資料を総合的に検討し、科学的かつ合理的に考察して判定しなければならない。

(火災原因判定書)

第27条 調査員は、前条に定める火災原因を判定したときは、火災原因判定書(様式第4号)を作成するものとする。

第3章 損害調査

(り災物件の調査)

第28条 調査員は、火災により破損され、又は破壊された財産(以下「り災物件」という。)を調査し、正確な損害の把握に努めなければならない。

(り災届の提出)

第29条 消防長は、調査のため必要があるときは、り災者その他関係者にり災届出書(様式第5号)の提出を求めるものとする。

(損害額の決定)

第30条 消防長は、調査により把握したり災物件及びり災届出書(様式第5号)を総合的に検討し、損害額を決定しなければならない。

2 前項の損害額は、り災した当時の時価とし、算出基準については取扱要領によるものとする。

(死傷者の調査)

第31条 調査員は、火災に起因して死傷者が発生したときは、その状況を調査しなければならない。

第4章 調査資料

(資料の提出)

第32条 消防長は、調査のため必要と認めるときは、関係者に対し資料の任意提出を求めるものとする。

2 法第34条第1項の規定により資料の提出を命ずるときは、火災調査関係資料提出命令書(様式第6号)によるものとする。

(所有権の確認)

第33条 消防長は、前条の規定により資料が提出された場合は、火災調査関係資料提出書(様式第7号)により所有権放棄の有無を確認しておかなければならない。

(資料の保管及び処分)

第34条 消防長は、資料を保管する場合は、火災調査関係資料保管書(様式第8号)に必要事項を記載し、調査が終了するまで保管しなければならない。

2 資料提出者が資料の返還を求めるときは、調査終了後、火災調査関係資料引受書(様式第9号)により返還するものとする。

3 資料提出者が資料の所有権を放棄したときは、調査終了後適宜処分するものとする。

(鑑定の依頼)

第35条 消防長は、調査のため必要があるときは、学識経験者又は官公署に対し、資料の鑑定を依頼することができるものとする。

2 前項の規定により鑑定を依頼するときは、鑑定依頼書(様式第10号)によるものとする。

第5章 調査書類の作成

(書類作成の原則)

第36条 調査書類の作成にあたっては、平易な文章で事実をありのまま表現するよう努めなければならない。

(火災調査書)

第37条 調査員は、調査を終了したときは、火災調査書(様式第11号)を作成するものとする。

2 前項の規定による火災調査書には、次の各号に掲げる調査書類及び資料を添付するものとする。

(1) 火災原因判定書

 鑑定書

 その他原因判定上の参考書類

(2) 実況見分調書

 現場図面

 火災現場の写真

(3) 火災出動時における見分調書

(4) 質問調書

(5) り災届出書

3 火災の規模、被害程度が軽易なものについては、前項の規定にかかわらず調査書類及び資料の一部を省略することができる。

第6章 報告

(調査結果の報告)

第38条 調査員は、調査を完了したときは、速やかに火災調査書(様式第11号)及び作成に関連した書類、その他必要な書類を添えて予防課長・署長の決裁後、消防長に報告するものとする。

第7章 り災の証明

(り災証明等の交付)

第39条 消防長は、火災のり災者その他の関係者からり災証明願書(様式第12号)により申請があったときは、り災証明書(様式第13号)を交付することができる。

第8章 雑則

(照会の回答)

第40条 捜査機関その他関係機関から照会があったときは、消防長が回答を行うものとする。

(調査書類の保存)

第41条 この規程に基づき作成した調査書類は、島尻消防組合文書整理保存規程(平成26年3月31日規程第5号)に基づき整理し、保存するものとする。

(爆発事故の調査)

第42条 爆発事故に係る原因及び損害の調査については、この規程を準用する。

(委任)

第43条 この規程の施行について必要な事項は、消防長が別に定める。

この訓令は、公布の日から施行する。

(平成30年訓令第5号)

この訓令は、施行の日から公布し、平成30年4月1日から適用する。

(令和3年訓令第13号)

この訓令は、公布の日から施行し、令和3年11月1日から適用する。

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島尻消防組合火災調査規程

平成28年9月1日 訓令第1号

(令和3年11月15日施行)

体系情報
第7編 務/第1章 火災予防
沿革情報
平成28年9月1日 訓令第1号
平成30年11月30日 訓令第5号
令和3年11月15日 訓令第13号